2月26日
8年ぶりに母さんのお友達が風子のお家に遊びにきたよ。
母さんとは13年前からの知り合いらしい。
大学を卒業したものの就職のことで悩んでいたお兄ちゃんは決心してイギリスへ行った。
ロンドンで親切なイギリス人の家族と暮らしながら2年間英語の学校へ通った。
そしてそのあと別の町へ移って、今度は学校で日本語を教えたらしい。
新しい町でお世話になったイギリス人の家庭にはかわいいラブラドール犬がいた。
風子の毛並みとよく似ているワンだったらしいよ。
母さんに言わせれば、教えることが天職のお兄ちゃん、つらいときも逃げ出さずに務め上げたので、
しっかり力がついた。飽きっぽい風子とは違うんだって。
日本が大好きだという教え子の少年が8年前に日本にやってきたとき、
お兄ちゃんはその子を風子のお家に連れてきた。
そのあと風子たちはプラハに行って、いつしか連絡が途絶えたの。
でもついこの間、香川県にいるお兄ちゃんからメールがきたよ。
東京に行く用事があるので風ちゃんたちに会いたいな。
今では故郷の公立高校の国語の先生。
りっぱになったね、と、母さん、目を細めていた。
お兄ちゃんがイギリスへ行くとき、頑張ってね、と、母さんはささやかなお餞別を手渡した。
母さんが英語を教えて得られる収入は知れていたから、ほんの少ししかあげられなかったけど、
お兄ちゃんはそのお金に手をつけずに、今でも大事にしまってくれているんだって・・・。
こないだそのことを知って母さん、びっくりしてたよ。感激してたよ。
風子、いつの日か、かなうことなら、お兄ちゃんの現代国語の授業を母さんと一緒に受けてみたいな。
8年前の写真です。イギリスから遊びに来た教え子
を連れてお兄ちゃんが会いに来てくれました。
風子はこの時まだ生後7カ月です。
りっぱな先生になった今のお兄ちゃん。
風子のことも教育しようとしてくれました。
お兄ちゃんとのツーショットです。
今度はいつ会えるかな?
そのときまで元気でいようね、風子。