チェコの温泉地
 
カルロヴィ・ヴァリ





プラハから西へ一時間半ほどドライブするとチェコ最大のそしてヨーロッパでも有数の規模を誇る
高級温泉保養地カルロヴィ・ヴァリに着く。この湯治場は十四世紀半ばに狩をしていたカレル一世によって
発見され、今日町中には十八世紀から二十世紀初頭にかけて建てられた厳かで美しい館が軒を連ねて
いる。

この町を訪れた王侯貴族や芸術家たちの数は多い。ゲーテ・モーツアルト・ベートーベン・ショパンなども
この地で静養したという。カルロヴィ・ヴァリの温泉は主に飲用で、消火器疾患、新陳代謝異常、糖尿病
などに効果があると言われており、地下二千〜三千メートルから湧き出る源泉はコロナーダと呼ばれる
美しい回廊で囲まれている。

コロナーダはそのほとんどがテプラー川沿いに並んでいるが、保養客たちはラーゼンスキー・ポハーレック
と呼ばれる専用のカップで温泉水を飲みながらゆったりと遊歩道を散策している。
ただし残念なことに、そして療養を目的とする湯治客が多いことを考えれば当然のことながら、
コロナーダ周辺の通りや公園は犬の通り抜けを禁止しているため、風子はしばらくのあいだ車の中で
お留守番することになった。

ソ連の宇宙飛行士ガガーリンが訪れたことのあるヴジーデルニー・コロナーダに入ると、すぐ目の前に
高さ8mまで吹き上がる間欠泉ヴジードロが見えた。売店で小さめのカップを購入し、建物の奥の方に
並ぶ五個の飲泉用蛇口から少しずつ温泉水を汲んで飲んでみた。聞いていたほどまずくは感じなかった。
五つとも源泉は同じだが温度が違う。味も微妙に異なる。
脇に設けられた座り心地のよい椅子に腰をおろしてゆっくり飲んでいる湯治客もいた。

治療の為に浸かる温泉施設もあり、水着を持参すれば温水プールや温度の異なる温水風呂などを体験
することができる。

伝統のある古い温泉地というのはよいものだ。
カルロヴィ・ヴァリにはきらびやかな看板はいっさい無い。歩いているだけで充分癒される、そんな湯治場
である。





カルロヴィ・ヴァリに着きました。
まだ朝の9時半だというのにすでに
町は散策する湯治客で賑わっています。

ヴジーデルニー・コロナーダ。
間欠泉ヴジードロが吹き上がっています。

各蛇口の上のところに温泉の温度が描かれて
いました。少しだけ汲んで飲んでみました。


ヴジーデルニー・コロナーダで購入した飲泉用
カップです。取っ手の先が飲み口になっています。


 ムリーンスカー・コロナーダ。
 長さ132m、幅13mあるこの建物はプラハの
 国民劇場を設計したヨゼフ・ズィーテクの手による
 ものなのだそうです。


犬禁止マークがついていない公園をやっと
見つけました。後ろに見えるのはラーズニェと
呼ばれる公衆温泉浴場の一つです。


 風ちゃん、長い間車の中で待たせて悪かった
 ねえ・・・。でも風ちゃんもちょっとだけ温泉保養
 地の気分を味わってみてね・・・。
今日は日帰りの長旅に付き合ってくれてありがとう。
お家で夕食を済ませた後、すやすや眠りについた
風子です。




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