9月6日

父さんと母さんは明日朝早くに淡路島のおじいちゃんとおばあちゃんのところへ行くんだって・・・。
それで風子は30分ぐらい車に揺られてワンコのお宿に預けられたの。


9月7日

ダルメシアンの愛ちゃんとお庭で遊んでいるとき、ネットに小さな穴を見つけた。
その穴からお外に飛び出して、なつかしい匂いのする方へ走った。
父さん、母さん、どこにいるの?

一生懸命走ったらいつも遊んでいる多摩川に似ている川が見えた。
土手沿いに走ったら知らないワンコたちがいたよ。
柴犬の太郎ちゃんと遊びながら太郎ちゃんのお家までついて行ったけど、
どうしても父さん、母さんに会いたくて、また川に戻ったの。

もうすっかり暗くなっていて、じきに雨がざあざあ降ってきたよ。
誰もいない川原でずっと待っていたけど、いくら待っても父さん、母さん、来なかった。


9月8日

朝早くに太郎ちゃんのお父さんが来て、風子においでって言ったの。
ついていったら、太郎ちゃんのお母さんが真っ黒になった風子の身体をきれいに洗って、
おいしいご飯をつくってくれた。そして一緒に父さん、母さんを探してくれたの。
いくら探しても風子を知っている人に会えなかったので、今晩は太郎ちゃんと一緒に眠ることになった。


9月9日

月曜日になったので太郎ちゃんのお母さんが市役所に届け出てくれた。
風子は鑑札をつけていたので、どこのお家の子かすぐわかったの。
用賀のおばあちゃんと電話でお話したあとで、太郎ちゃんのお母さんははじめて風子の名前を
呼んでくれた。

風子が逃げ出したお宿からの連絡で、風子がいなくなったことを今朝になって知った父さんと母さんは、
すぐバスに飛び乗ったらしい。
そのバスのなかから用賀のおばあちゃんに電話して、風子が狛江のお家に戻るかもしれないから
すぐに行ってくれるように頼んだんだって・・・。
飛行機は満席だったので新神戸で新幹線に乗ったらしいけど、電車の中でも気が気ではなくて、
母さん、ずっと手を合わせて、風子の名前を呼びつづけていたらしいよ。
父さんは、風子はしっかりした子だから、きっと狛江のお家に戻ってくると信じていたって・・・。

父さん、母さんがまだ新幹線の中にいた午後2時ごろ、事情を知った皓平兄ちゃんのお母さんが
太郎ちゃんのお家まで迎えに来てくれたの。
おばちゃんは風子がいなくなったことを知ってから、皓平兄ちゃんと一緒に何時間も探しつづけて
くれたんだって・・・。
太郎ちゃんのお家で皓平兄ちゃんに会ったとき、風子、うれしくて涙が出たよ。

狛江のお家には用賀のおばあちゃんがいた。何だか疲れがどっとでて、少し眠った。
まもなくお家の前にタクシーの止まる音がした。風子、もちろん、飛び起きたよ!

父さん、母さんが帰ってきた。風子のところに帰ってきた!

数日ぶりにぐっすり眠った。



道に迷った風子を保護してくれた太郎ちゃんの
お母さん。
とってもお世話になりました。
ほっぺにチュッは、風子の精一杯の感謝の
気持です。
またおいでって、太郎ちゃんは言ってくれました。
ありがとうの握手をしてお別れしました。
よかった、よかった・・・。
みんな、とっても幸せそうです。
皓平兄ちゃんのお家にもご挨拶に行きました。
良かったねえって、お兄ちゃんは抱きしめて
くれました。
皓平兄ちゃん、風子を探してくれてありがとう。
二匹で喜び合っていたら、幼馴染のゲンちゃんも、
よかったねって言ってくれました。
用賀のおばあちゃんのお家にもご挨拶に行って
きました。風子がよく眠れるようにとおばあちゃんは
ふかふかお布団をおみやげにくれました。
優しい人たちのおかげで、風子はお家に戻ってくる
ことができました。
お世話になった皆様、ありがとうございました。


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