コロ、よく頑張りましたね。お迎えがすぐそこまで来ていてもなお、
あなたは必死で生きようとしていましたね。
無い力を振り絞り、父さんと母さんが差し出すスポイトから、お水を
一生懸命飲もうとしましたね。
そしてある瞬間、母さんがコロのお口の中に入れたスポイトの先を、
あなたは噛んで力の限り引っ張ろうとしましたね。
あなたがまだ若かったころ、母さんと一緒に毎日のように布や棒切れを
引っ張りあって遊んだのを、あなたは死の直前に懐かしんでくれたの
でしょうか?
あのときの真剣なあなたの顔は、他のたくさんの思い出とともに
今でもはっきり脳裏に焼き付いています。
「ボクは生きたいんだ、ボクは生きたいんだ」
声にならない声で、あなたはそう叫んでいたのですね。
あなたの呼吸が弱々しくなってきたとき、父さんに抱きかかえられ、
あなたはほっとしたような表情を浮かべて息を引き取りました。
2001年3月14日午前5時5分のことでした。
コロ、よかったね。父さんのお膝の上で最後を迎えることができて、
本当によかったね。
あなたが気に入っていた枕を布団の上に戻し、あなたの小さな頭をその上に
載せて寒くないようにタオルケットを掛けたあと、父さんと母さんはしばらくの間
呆けたようにそこに座り込んでいました。
でも、コロ、あなたは最後まで本当に親孝行な子でした。
あなたの優しい死に顔に、父さんも母さんもどんなに救われたことか・・・。
今でも目を閉じるとあなたの笑顔が思い浮かびます。
17年と5ヶ月、あなたと暮らせて、とてもしあわせでした。
コロ、ありがとう。
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