カフェ インペリアル


交通量の激しいNa Porici通りの一角にこの古ぼけたカフェはある。
天井は高く、天井や壁に施されたモザイク調の絵画がノスタルジーチックな独特の雰囲気をかもし出している。

オープンしたのは1914年。初めてこのカフェでコーヒーを飲んだときに添えられていた揚げパンを見て
驚いた。カフェの雰囲気といい、揚げパンといい、あまりにも『Saturnin』のイメージに似ているのだ。
『Saturnin:』というのは1943年にZdenek Jirotkaによって出版されたコメディで、チェコで一世を風靡した作品である。
映画化もされたらしい。この本の冒頭の部分にこのカフェによく似た雰囲気のカフェが出てくる。そして供された揚げパンを
見たときのお客の反応により人をいくつかのカテゴリーに分けているのだ。
チェコ人の友人に勧められて読み始めはしたものの、チェコ語を学び始めて二年目の私には難しすぎてまだ最初の
部分で足踏みをしているのだが、いつの日か読み終えたいものだと思っている。

このカフェではコーヒーを注文すると必ず揚げパンがついてくる。メニューをよくみると、1943コルン支払えば、
前日売れ残った揚げパンのすべてを買い占めることができ、それを店内の誰に向かって投げつけてもよいと
記されている。そして投げつけられたお客は決して文句を言ったり怒ったりしてはいけないそうである。
1943という数字は『Saturnin』が書かれた年だ。カフェは本が出版される前から存在するのだから、
揚げパンにまつわる諸々のことはおそらく本が売れてから考え出されたものであろう。

このカフェでは食事もできる。コーヒーだけでのんびりくつろぐこともできる。
友との語らいにもよいが、一人でも気軽に利用できるカフェである。
たまに映画の撮影に使われたり、時折ジャズ演奏が催されることでも知られるカフェだ。



カフェは角地にあります。
ビリヤードに興じる紳士の看板が目印ですが、
カフェとビリヤードは現在まったく関係がないようです。


 メニューにサトゥルニンの皿の値段は1943コルンと
 あります。揚げパンを自由に投げつけられる権利の
 値段です。ちなみにカプチーノは揚げパン付で1杯
 44コルン。

店内の様子です。


お気に入りのテーブルです。



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