天文時計



毎時丁度になると旧市庁舎の鐘が鳴り、仕掛け時計が動き始める。この時間に合わせて多くの
観光客が時計塔の前に集まってくる。木枯らしの吹く真冬でもこの現象は変わらない。恐らく
プラハ市内で最も人気のある観光スポットの一つであろう。

旧市庁舎の建設が開始されたのは1338年、時計塔とチャペルが完成したのが1364年、さらに
時計職人のミクラーシュがカレル大学数学科のヤン・シンデル教授の指導のもとで天文時計を
取り付けたのが1410年、そして時計職人のハヌシュが1490年に大きく修理、改良を行ったと
いうことだが、この際の完成度が極めて高かったため、それをねたんだ何者かによってハヌシュ
の目がつぶされたとの伝説が残っている。

からくり人形たちが作成されたのは1650年台のことであり、1882年に金色の雄鶏とその小窓
が付け加えられた。そして1865年にチェコ人画家マーネスがカレンダリウムの絵を描いている。

何度か修理が繰り返されたが1945年に時計塔は火事によって大きく破損した。しかし近代的な
時計に作り変えようという声は却下され、時計塔はまた修復されることになった。ただし現在の
天文時計は電動装置で動いている。

時計塔には二つの天文時計があり、上部の時計はプラネタリウムと呼ばれる。中心に地球があり,
針が交差するところがプラハを指しているという。光るマークが太陽を意味し、シルバーブラックの
小さな円球が月である。当時は天動説が信じられていたので、文字盤も地球を中心に太陽と月
が回るような形に描かれており、天体の位置により一日二十四時間が表されている。
下部の時計はカレンダリウムと呼ばれている。旧市街の紋章を軸に星占いで馴染みのある十二
の星座が記され、その周りに十二ヶ月の農作業の様子を表す絵が描かれている。こちらは一日に
一目盛りだけ動き、一年かけて一周するようになっている。

金色の雄鶏の下にある二つの小窓が開くと十二使徒が二手に分かれて回りだす。プラネタリウム
の横に立っている骸骨の人形が人生の時間を象徴する砂時計を傾け、紐を引っ張って鐘を鳴らす。
骸骨は死の象徴であり、煩悩、虚栄、物欲を意味する他の三体の人形も鐘が鳴っている間中動い
ている。カレンダリウムの脇にある人形たちは動かない。最後に雄鶏がコケコッコウと鳴き、それ
を合図に仕掛けは終了する。異なる時代に作られた装置を巧みに関連させた時計塔の仕組みが
面白い。



旧市街地の天文時計の仕掛けを一目見ようと、今日も
大勢の観光客が集まってきます。


二つの小窓に分かれて十二使徒が次々に姿を現わし
ます。小窓の間にある天使像が時計塔で最も古い彫像
になります。


骸骨の人形が左手に持つ砂時計を傾け、右手で紐を引っ
張ってベルを鳴らします。


上の天文時計は当時信じられていた天動説に基づき、
地球の周りを動く太陽と月の位置により一日の時間を
表す仕掛けになっています。


カレンダリウムは一年かけて一周する仕掛けになっていま
す。この写真は3月下旬に撮りましたので、一番てっぺんが
三月の農作業の絵の左端の部分になっています。


inserted by FC2 system