復活祭




イエズス・キリストが死後三日目によみがえったことを祝う復活祭(英語でイースター、チェコ語でヴェリコノチェ)は
春分のあとの最初の満月の次に来る日曜日と定められているため、毎年異なる日にあたり、時差がある為に国に
よっても多少日にちがずれる。そもそもこの日キリストの復活を祝って仕事を休み、礼拝に専念するようになったことが
日曜日を設けるきっかけになったらしい。一般的には日曜日とキリストの復活が世間に告げられた月曜日が祝日となる
ようだが、学校などそれより長い休暇を設けているところもある。

復活祭ではまた春の訪れを喜び合い、親しい人たちの間でプレゼントを交換する。
このプレゼントに使われる代表的なものが卵である。卵に小さな穴を開けて黄身をつぶして中身をとりだし、外側の殻に
塗料やたまねぎの汁などを塗ったあとでさまざまな図柄を施したものが復活祭の一週間ほど前から町の広場などで
売られる。中には刺繍をほどこしたものもあり見ているだけで心弾むものがあるが、細かい手作業の割りに値段は安い。

旧市街広場に行き、色とりどりの卵が並ぶ出店を見てまわった。
そして特に気に入ったものを一個だけ買い求めた。60コルン(300円弱)であった。
水彩でプラハの町の風景画が施されており、いくら眺めても飽きがこない優しい図柄であった。
店の主は頷きながら壊れないように小さな四角いプラスティックのケースに卵を入れてくれた。

柳の小枝を何本か束ね、編み上げてリボンを先にとりつけたものを売っている店もあった。
尋ねてみると、これで月曜日の午前中に男の子が女の子のお尻を叩き、女の子はその子に卵をあげるのだそうだ。
この場合の卵は後で食べられるようにゆで卵が使われることが多いらしい。
何故女の子を叩くのかと尋ねると、叩かれることで健康になる、と言われているということで、チェコの復活祭では昔から
行われてきた風習らしい。好きな女の子のお尻を叩けるのは月曜日の午前中のみで、午後に行くと女の子から水をかけられるそうだ。
月曜日の朝十時ごろに風子とお散歩に出かけた道すがら、このリボンのついた柳のムチを抱えて歩いている少年を見かけた。
目が合うと、少年ははにかむように微笑んだ。




 

手前に見えるのが柳の小枝で作られたムチ。ヴェリコノチェの翌日の月曜日に       子供たちは誰にあげる卵を選んでいるのでしょうか?
男の子が好きな女の子の家を午前中に訪ねてこれで軽く叩きます。
午後に行くと、女の子に水をかけられてしまいます。

 

気に入って買い求めた卵。平和なチェコの風景画です。                      同じ卵の裏側に描かれた絵。教会の横の池でアヒルが泳いでいます。




復活祭の卵はこうして作られます。
塗料が固まらないように蝋燭の火の上で絵を描き込んでいます。








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